連作唱歌「可愛いスーちゃん」1〜6
- akiyamabkk

- 2024年6月25日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年6月25日
1. 阿田、三途の川を越える
芒原ただただ歩くその果てに
あの世はいらぬ歩くだけでよし
この歌のメロディの前半は、あるYouTube投稿から拝借した。投稿者はアイルランド出身の白人男性で、引っ越したばかりらしい借家の床をモップがけしているのだが、その時口ずさんでいた鼻歌のメロディを借りたのである。
鼻歌には時々歌詞が混ざって、A girl from Myanmar という言葉が何度も出てきた。よく聞いてみると「俺はあの子に金も愛情もつぎ込んで親の面倒まで見てあげたのに、あの子はどこかに行ってしまった」というような内容だった。
明らかに、実体験に基づく替え歌だが、いいメロディだと思って、この歌の前半16小節に拝借した。後半の16小節と始まりと終わりののリフレインは自分で作った。クレジットに Composed Partially by としたのは、そういう事情からである。
そのアイルランド人には一応許可を求め、元歌の題名を尋ねたが、揶揄われていると思ったのか、投稿を削除してしまったのが残念だった。少しリサーチしたところでは、東南アジアで長年教師をやっていた人のようだった。ここで一首、
愛蘭の老兵がする鼻歌は
日本の国の唱歌に似たり
2.阿田、鴉となり空を舞う
以下は簡潔に、短歌のみで。
西日差す賽の河原にうたた寝し
一世を生きて死んだ夢見る
3.阿田、人の言葉を忘れ狼狽える
「対人関係に難あり」と言われて久し
人語など 忘れて今はかあかあと鳴く
4.阿田、スーちゃんの声で我に返る
新宿のホボーが慕うスーちゃんは
炊き出しに来るおばはんなりき
5.阿田、この世に帰って後悔する
朝起きて用を足しに行ったら、便所の隅に小さなトカゲが血を吐いて死んでいた。 昨日の晩、トイレに起きた時、オレが踏んづけて殺したらしい。
6. 阿田、病床で幻覚を見る
日向にて憩う風なき冬の日よ
セーターだけで焼き芋を食う
もっとたくさん作ろうと思っていたが、途中で飽きてしまった。自分に、新しいメロディを作る能力がなかったこともある。同じメロディに歌詞をつけているから、飽きてしまったのだ。
阿田がススキの原を「ただただ歩く」のは、小学生の頃、家庭教師をしてくれた女の人の体験談からとった。彼女は、子供のころ風呂場で転んで頭を打ち、生死の境を彷徨ったのだが、その時、彼女は、夢の中で、ススキの原をずーうっと歩いていたそうなのだ。
「悲しくもつらくもなかった」・・・と先生はそう言っていた。
阿田がカラスになるのは、子供の頃読んだ「聊斎志異」という中国のゴーストストーリーから取った。その話では、科挙に落ちた傷心の男主人公がカラスに変じて、洞庭湖かどこかだかを飛び回っているメスのカラスと夫婦になるのである。
<了>
参考・使用ソフト
Sinsy
ぼーか郎
楽譜制作ソフト



