不定期テレビ日記〜2022年3月
- akiyamabkk

- 2022年3月13日
- 読了時間: 22分
更新日:2022年4月1日

2022年3月2日(水)
スカイスポーツの冒頭「今日のニュースは、ウクライナをロシアの侵攻から守るサッカー界の共同戦線について始めにお伝えします」英国のプレミアリーグ。ウクライナ出身のチームメイトに連帯を表明して、両チームが、それぞれウクライナ国旗と、No War Tシャツを纏ってピッチに並ぶ。ヨーロッパの危機感が凄いことになっている。
https://www.jfir.or.jp/studygroup_article/7401/?fbclid=IwAR0WB9vZo20vBhvwiOTkSgye4n8kDsg25OjRNZrlJue2WHhZa25xYnndtpw
『NATO不拡大の約束はなかった」青山学院大学名誉教授、袴田茂樹氏の論文。説得力がある。ロシア国内メディアの論説を引いて来ているところがミソ。しかし、仮に約束(口約束だと)があったとしても、何故、旧ソ連とアメリカが30年前にした約束に、独立した主権国家が縛られなければならないのか?いわんやそれが他国への軍事侵攻の理由になどなるはずがない。やはりプーチンは頭がおかしい。やれやれ。
なんと、この論文の執筆者は、元共産党幹部の袴田里見の甥御さんだそうだ。袴田家は筋金入りのコミンテルン一族で、この人のお爺さんは戦前ソ連に亡命し、ロシアで家庭を設けた。そのため、今でもロシアに親戚がいて、ロシア人の生の声に接することができるのだという。
2022年3月3日(木)
保守系の YouTube 番組をナザレンコ氏が出演しているので見る。以下、番組の内容。
ロシアが民間施設への攻撃を始めたようだ。ナザレンコ氏の実家の近くで、彼が通っていた学校も攻撃されたという。「電撃作戦」に失敗したので、「後方の戦意を挫く」ために「戦略爆撃」に転じたということだろう。個々の情報の真偽を100パーセント確認するのは難しいが、大筋の流れとしては、そう考えて間違いないようだ。
ロシアの刑法が改正され、ロシア軍の軍事活動に関してフェイクニュースを流したら15年以下の禁錮形が課さられることになった。ロシアに不利な情報を流布させないための法律だから、例えば、「学校を砲撃した」などという情報をネットにあげれば懲役刑を喰らうわけだ。ロシアの北朝鮮化。
ナザレンコ氏「8年前、ロシアがクリミアに侵攻して以降、これだけでは終わりませんよ、とウクライナは言い続けてきたが、誰も信じてくれなかった」顔面蒼白である。眠れない夜が続いているのではないか。
プーチンは脳梅毒ではないかと疑っていたが、パーキンソン病説があるようだ。アメリカ政府の中からも、プーチンの精神状態の健全さを疑う発言がではじめた。ロシアの政権内部からプーチン追い落としの動きが出て来ればいいのだが、あの国では、核兵器のボタンはちゃんと管理されているのだろうか。危なすぎる。
ロシア研究者が予想を間違う理由、単純。「ロシアに不利な事をいうとビザが出なくなり研究ができなくなるから」これはタイの研究者がタイ政府批判をちちんとできない事情と同じだろう。地域研究者に共通するジレンマだが、ならば、マスコミに出て喋らなければいい。
一方、ネットの落書きレベルでは、アメリカ陰謀説が飛び交い、ウクライナ政府ネオナチ宣伝が横行しているらしい。ウクライナの大統領も首相もユダヤ人であるのにもかかわらず、である。
別件、この間引用したロシア研究者、袴田茂樹は、元共産党幹部の袴田里見の甥だそうだ。袴田里見は宮本顕治の片腕で、除名後宮本批判に転じた人。お爺さんは戦前にソヴィエトに亡命し、向こうで家族を持った人で、ロシアに親戚も多い。「説得力」の理由が腑に落ちたように思う。要するに、筋金入りのコミンテルン一族の出身で、ソビエトロシア、共産党、現在のロシアの三つの内情を、近しい人から聞ける立場にある方だということだ。
2022年3月4日(金)
CNNのオレクサンドル・ウシク、インタビュー。このボクシングヘビー級の現役チャンピオンは、ロシアのウクライナ侵略が起こった時、テレビゲーム用の撮影でロンドンにいたが、すぐ、ポーランドへ飛び、車を500マイル運転して祖国に戻ったのだという。
「(闘うことに)恐怖はない、しかし、こんな事が二十一世紀に起こったことに当惑している」(ウシク)
ウシクとロマチェンコは幼馴染で、お互いの子供の名付け親になりほど仲がよい。ロマチェンコもロシア侵攻時には海外にいたが(ギリシャの正教教会を訪れていた)、ルーマニア経由で生まれ故郷のオデッサに戻った。二人は揃って、ウクライナ国防軍に志願している。
CNNは、同じ日にロマチェンコともインタビューのアポが取れていたが、ロマチェンコが約束の時間に応答しなかったため、ウシクのみのインタビューとなった。ロマチェンコの身の安全が懸念されたが、コーディネーターを通じて安全が確認されたという。
2022年3月6日(日)
メモ ベトナム戦争とウクライナ戦争
ベトナム戦争中、南北ベトナムで500万人の死者が出たとされる。「もし、北ベトナムが統一を諦めていたら、これほどの犠牲は起きなかったし、ベトナムの南半分に、現在の韓国のような発展した国が存在したかもしれない。」そういう思考実験も可能だろう。歴史に if はないとよく言われるが、「もし南ベトナムに、有能で比較的クリーンな指導者が現れていれば」という前提が必要だが。
ホーチミンは「独立と自由ほど尊いもにはない」という言葉でベトナム国民に多大の犠牲を強いたが、共産主義イデオロギーが崩壊した今では、南北ベトナムのうち北ベトナムにのみ独立の大義があったとは言い切れないだろう。ベトナム戦争は、ウクライナでの現在の戦争ほど明確な祖国防衛戦争ではなく、「社会主義の体制的優越性」という呪文が解ければ、米対ソ中の代理戦争だった現実があからさまに見えてくるようだ。
ウクライナも欧米の代表選手として戦っている(戦わされている)側面はあるが、ロシアがウクライナを侵略したという明白な事実は、「嘘も100回言えば真実となる」式のプーチンのプロパガンダキャンペーンを持ってしても、覆い隠しようがない。また「議会制民主主義の体制的優位性」という呪文は、そう簡単に解けそうもなさそうだ。プーチンも、まがりなりにも民主的政権交代の手続きがある社会で、国民に不人気な戦争を続けることの難しさを思い知るのことになるのではないか。ベトナム戦争に「負けた」アメリカのように。
2022年3月7日(月)
チャップリンの「独裁者」に後編がつくられたとしたら、こうならざるを得なかったのではないか。「赦しの日曜日」の大統領演説。
2022年3月9日(水)
これはカッコ良すぎるだろう。しかし、すごい時代になったものだ。ヒトラーと戦っている最中のチャーチルが、毎朝塹壕の中から出てきて、警句を飛ばし国民に向かってウインクすることを想像してみてほしい。
2022年3月10日(木)
ロシアの侵略を受けているウクライナの重要なウェブサイトをアーカイブ化して保存しておこうというプロジェクト。1000人以上のボランティアが集まって進行中らしい。もしロシアの侵略が成功した場合、抹殺されるであろう様々な記録を保存して、証拠として残しておこうという試みかと思われる。そうでなくても、インターネットは同時代を記録しておくメディアなのだと言うことを再認識させられた。ロシア語、ウクライナ語ができなければボランティアとして参画できないが、試みに賛同したい。
2022年3月12日(土)
■Wag the Dog シンドローム
Wag the Dog (1997) シンドローム。今、私が命名した。諸処の状況、情報を勘案する事なく、全てを単純な陰謀論に落とし込みたがる病気、もしくは心的性向。きちんと調べたり、考えたりせずに、「自分は人が知らないことを知っている」という自己満足を得られるため、ある種の人々が好んで罹患する。アルツハイマーの前駆症状でもあり、ネット初心者が罹患する事が多い。
コメディ映画「ワッグザドッグ」が発病のきっかけとなり、陰謀論SF映画「カプリコンワン」で悪化するケースが多い事から「ワッグザカプリコン」シンドロームとも呼ばれる。この病気の特徴は、「この件で誰が一番得をしたか」と考えて、そこからストーリーを演繹する事であり、罹患者の多くは、「全てのプランが計画策定者の思惑通り進むわけではない」という単純な事実を無視しているか、「漁夫の利」という一般教養レベルの諺を知らない事が指摘されている。
「この子はいい役者だ。うちがスカウトしたい」ラブロフならそう言うだろう。あのシニズムは、やっぱりナチスだ。
2022年3月13日(日)
ノート。今日のゼレンスキー演説。ウクライナ英雄勲章を受けた106人のうち、戦死した17人の名前を一人ずつ挙げ、彼らのあげた戦果を具体的に紹介しながら称揚している。英雄勲章を死後に受けた初めての女性の名前があった。看護兵だったようだ。見事な「戦意高揚演説」だが、大概の日本人は、チャップリンの「独裁者」の演説にはもろてを上げて賛同し、感動しても、このような「戦意高揚演説」にはたじろいでしまう。自分もその一人である。チャップリンのあの感動的スピーチの道義的、現実的帰結が、このゼレンスキーの「戦意高揚演説」であるはずなのだが。
ノート ウクライナに外国のジャーナリストがいなければ、ロシアの恥知らずな嘘が、幾らかでも影響力を持ったかと思うとゾッとする。CNNは、ここでインタビューを受けているアンダーソン・クーパーも含め4人、記者が入っているようだが、クーパーは比較的安全なポーランド国境にいる。クーパーは安全な場所にいる事を恥じているようだが、そのLvivにも、ロシアの攻撃が始まったと報道があった。(このインタビューは5日前に行われている。) 専門性の無いジャーナリストにはもう存在価値が無いと書いたが、命懸けで取材する記者には存在価値がある。もし、ウクライナにこれだけの外国プレスのプレゼンスがなければ、ウクライナはチェチェンやアレッポのようになったかもしれない。”There is nothing worse than people dying in silence” 「沈黙の中で殺されていくより無惨な事はない」クーパーはそう言って、命を賭をかけた証言者としての同僚の健闘を称えている。
2022年3月14日(月)
ウクライナでプレス関係者が殺された。一緒にいたジャーナリストによれば、ロシア兵に首のところを撃たれて止めをさされたらしい。イラクで殺された橋田さんと甥御さんの小川さんの事を思い出す。ロシア兵は、イスラム過激派のように外国人ジャーナリストを敵とみなして攻撃するようになったのか。
追記
一緒にいたカメラマンの証言の表現が、最初に読んだBBCとCNNで微妙に違っている。以下がBBCの叙述。
“Somebody offered to take us to the other bridge and we crossed a checkpoint, and they start shooting at us. So the driver turned around, and they kept shooting; there's two of us. My friend is Brent Renaud, and he's been shot and left behind... I saw him being shot in the neck."
「撃たれて取り残された」後に、「私は彼が首の所を撃たれるの見た」となっているので、ロシア兵に意識的に頭を狙われたように理解したが、CNNでは単に「首を撃たれた」となっている。乱射された弾が首の所にあたったという事なのかもしれない。
イラクで亡くなった橋田さんの場合、車の助手席にいた橋田さんは、対戦車砲が直撃し即死、後部座席にいた甥御さんは、車を降りて逃げた所を追いかけられ、至近距離からトドメをさされた。思わず、それを連想してしまった。
ロシア側はどういう声明を出すだろうか。「あの死体は役者だ」とでも言うだろうか。おそらく記者を偽装したウクライナの工作員か傭兵だというだろう。
本日のゼレンスキー。英語字幕入り。ロシア兵によるアメリカ人記者殺害、ポーランド国境の空爆、ロシアと進行中の交渉などについて触れる。それから、日々増え続ける負傷者の治療に献身する医療機関を称えて、その名前を一つ一つ、延々と列挙していた。見事な「戦意高揚演説」である。名前を挙げられた組織の高揚と、名前を挙げられなかった組織の落胆がいかほどのものか、十分に理解しているからだろう。そして、この大統領の独特な暖かさ、決して過度に感傷的にならない声のトーン!
この日、大統領は、病院に負傷者の慰問に訪れたのだが、ウクライナのヒーロー達を讃える一方で、「同じ病院で同じ医者達によってロシア兵も治療を受けている」事にも言及している。小国の大統領として、戦争が国際世論戦でもあることが痛切に分かっているから、自らの道義的優越性を示せる機会は逃がさない。まるでベトナム戦争時の北ベトナムのようだが、決定的な違いは、ロシアにはアメリカのような自由な言論がない事だ。
2022年3月15日(火)
本日のゼレンスキー。ロシアの将兵に「投降すれば、あなたがたはロシア軍にいるよりも、より人間らしい扱いを受けることになるだろう」と呼びかけている。「この19日間で、ロシア軍は、チェチェン戦争よりも大きな損害を受けている」とも。ロシア兵に呼びかける時はロシア語なのだろうか。国際社会とウクライナ国民に、自国の道義的優位性を示す事が主眼ではあるのだろうが。ウクライナ人がロシア語を解するように、ロシア人もある程度はウクライナ語が分かるものなのか。国内で情報統制が敷かれているとはいえ、海外にもロシア人が沢山いるはずだし(タイではカードが停止され旅行費用が払えなくなったロシア人が立ち往生している)、今の時代、ロシア人がこのゼレンスキーの演説を耳にしないとも限らない。ロシア兵はスマホを持つことを許されているのだろうか。戦死する直前、母親にSNSでメッセージを送った若いロシア兵の話しをウクライナの国連大使がしていたが。
「あなたは方は、この理不尽な戦争で命を落としたくない、と思っている。傍受した兵士同士の会話、家族との会話から、我々にはそれが分かっている」ともある。ロシア側の士気は最悪だといいたいわけだ。
ロシアの勇気あるテレビウーマン。お父さんがウクライナ人だそうだ。首のネックレスはウクライナとロシアの国旗の色をあしらっている。
2022年3月15日(火)

2022年3月16日(水)
首脳会談の様子が、ここまでイキイキと伝えられることは珍しいのではないか。大概は頭撮りで、形式的なニュースナレーションの下絵を撮って終わりだが、これは少し映像の感じが違う。やはり、普段ニュースを撮っている人ではなく、映画人、ゼレンスキーが業界から連れてきた人が撮影しているのではないか。首脳会談のニュースの絵としてはありえないアングルの絵が混じっている。大統領専属カメラマンが、大統領と同じテーブルに座った目線から撮っている絵。
しかし今の状況でキエフを訪れるポーランド、チェコ、スロバニアの首脳も凄い。彼らにとっては、もはや、タニンゴト(タニンゴトでいいではないか)ではないのだろう。
フォックスニュースのカメラマンと通訳のウクライナ女性がキエフ郊外で銃撃されて死んだ。カメラマンは55歳、通訳の女性は24歳。ベテランジャーナリストが次々とやられているのだから、経験があっても防ぎようがない。こんなもん運ですな。一緒にいた若い人が気の毒だ。
合掌
2022年3月19日(土)
偽のゼレンスキーが出回っているようだが、こちらが公式サイトからの本物のゼレンスキー。「もし今停戦に応じなければ、ロシアは、回復に何世代も要するような、大きな損失を被る事になる」と、かつての大国を教え諭すトーンである。戦争が総力戦となった場合、戦う動機、道義的優位性が、いかに大切なものか!小国が大国に勝つ方法は、これしかないのではないか。
ザレンスキーは別のスピーチで、「この戦争でロシアは、この25年間で築き上げてきた全てを失い、(ソビエト崩壊後の)屈辱の90年代に逆戻りすることになる。(当時はあった)自由という獲得物さえ失って」と述べている。やはり、相当優秀なスピーチライターが付いている。プーチン演説の下品さ、知的劣化の酷さとは、まことに対照的で、この戦争の特徴をなすコントラストとなっている。
ゼレンスキーをノーベル平和賞に推薦する動きがある。今年度の推薦は締め切られているらしいが、これは全世界的な署名運動を展開する価値がある。まずは候補受け付け期間延長の請願、候補になればノーベル平和賞授与の請願。国際世論を形にするのに、これ以上相応しい場はない。一億人は署名が集まるのではないか。事務局はスゥエーデンにでもおいて在外ロシア人で戦争に反対している人も巻き込んでやれば良い。まさか「戦争の一方の当事者に賞を与えるとは何事か?ノーベル平和賞は戦争を助長するのか」と反対する人はいないだろう。日本以外は。
ゼレンスキーの国会演説が3日で決まってた!知らなかった。ちょっと遅いな。「勝ち馬に乗った」と思われるかも。日本が期待される役割は復興支援だろうから、ウクライナ側にしても、このくらいの優先順位なのだろう。ゼレンスキーもそこに重点を置いた演説をするのではないか。まさか、アメリカでやったようにパールハーバーは持ち出さないだろうが、彼の周りについてる優秀なスピーチライターが何にフォーカスするか楽しみだ。
2022年3月21日
ゼレンスキーがイスラエル国民に向けて演説。イスラエル国民に「ネオナチの頭目」がスピーチしている図。(笑) ゴルダ・メイヤーはキエフ出身だったのか。ロシアがウクライナに侵略した2月24日は国家社会主義ドイツ労働者党が設立された日だそうだ。
私の予想。ゼレンスキーはおそらく、日本の国会での演説で日本の戦後復興の話しを持ち出すのではないか。「ウクライナが戦禍から立ち直る時、奇跡と言われる戦後復興を成し遂げたあなた方から力をいただきたい」とか。日本の憲法などお構いなく軍事支援を要求してくれば、スピーチライターがおざなりな仕事をしたということ。
ノート The Voice Ukraine の審査員だったSvyatoslav Vakarchukが、CNNのインタビューに答えている。ウクライナ防衛軍に志願したそうだ。有名なロックスターだが政治家でもあり、Voiceという親ヨーロッパの政党を立ち上げて、前の選挙でかなり議席を取っている。その後分裂したようだが。この人は(名前が発音できない)ロシア語でロシア人に「あなたがた以上にこの戦争を止められる人はいない、共産主義を倒した時のように街頭に出て戦争を止めて欲しい」と呼びかけているそうだ。
ウクライナに親ロシアの傀儡政権ができれば、こういう人たちは、亡命を余儀なくされるか、投獄されるか、殺されるだろう。いずれにしろ、ウクライナの最も良質な部分が失われるのである。日本のある種の人たちは、こういう人たちに、「黙って従っていれば殺されずに済んだのに、愚かな」とでも言うのだろうか。The Voice Ukraine は中断されて、公式YouTube は、Stop the war のフレーズ で埋められていた。
2022年3月23日(水)
ノート ゼレンスキーの日本議会への演説。通訳の日本語が少し分かりにくかったが、英語のテロップが入ったものを公式サイトがあげている。やはり、日本の政治的、経済的支援への感謝とその継続拡大の要請、そして、復興プロセスへの関与をお願いする内容だった。「国際機関は戦争を止めるのに何の助けにもならなかった。平和を維持するための新しい枠組み、ツールが必要で、戦後の新しい秩序りのために日本と働きたい」と大統領が繰り返していたのが印象的だった。
ここにはないが、参院議長のスピーチも、ロシアの侵略と市民への無差別攻撃を断罪し、ウクライナ支持を100パーセント言い切った、歯切れのよいもので、流石に元女優らしく感情もこもり、これも悪くなかった。政治家が勧善懲悪的であるのに、これ以上相応しい場はないだろう。
ゼレンスキーは、日本をアジアのリーダーと呼んでいるが、今回、意外だったのは、中国の態度は予想通りとしても、インドという国の煮え切らなさである。非同盟主義で長年やってきて、非同盟主義の盟主を自認することがインドの政治的アセットなのだとしても、物には限度というものがあるのではないか。インドの態度は、むしろ非同盟主義の無力さを露呈する結果となったのではないか?多くの東南アジア諸国があえて「蚊帳の外」を決め込むことを選択していることを「非同盟主義の成果」と考えることもできるのかもしれないが、通商関係などを通じて、ロシアに実質的な影響力のある国には、間接的にロシアの侵略を支援している側面があるわけで、例えば、国内を安定させるのに汲々としているタイのような中堅国とはまた別の責任の在り方があるのではないか?また経済制裁には同調しないが、国連総会のロシア批難決議には、ベオナムとラオスを除いたアセアン9カ国が賛成票を投じている。インドはそれさえも棄権しているのである。
以下、The Diplomat の記事。
南アジア諸国は半分が棄権している。
以下が非同盟運動加盟国。ロシアと中国はオブザーバーとして参加している。(タイは加盟していない。北朝鮮は加盟国である)一々確認していないが、今回の国連決議に反対、棄権した国のほぼ全てが、非同盟運動関係国なのは明らかだろう。(逆は真ではない)非同盟運動がロシアの侵略行為への国際的批判を和らげる緩衝材の役割を果たしているわけだ。しかし、果たして、この構成国の内容で本当に「非同盟」と言えるのかどうか、極めて疑わしい。ベラルーシなどは、実質的なロシアの軍事同盟国ではないか。これからはカッコつきの「非同盟」運動と呼ばせてもらうことにする。
2022年3月24日
ノート ベトナム戦争時のアメリカの核使用の検討について。ロシアがやっている事は、アメリカがやってきた事の劣化バージョンではないか。随分問題の規模は違うが、ビルマ軍政がタイの軍部の稚拙なベンチマークである事に似ている。だからといって、ロシアやビルマがやっている事が正当化されるわけでは決してないし、ロシア側にも「言い分がある」という事にはならないが。
ウクライナが核兵器を開発しているとか、化学兵器を使用しているという主張は、イラク戦争でのアメリカの間違った戦争目的への当て擦りだろうが、大きな違いは、サダムフセイン政権が第一次湾岸戦争前に核開発を行おうとした過去があり、イライラ戦争で化学兵器を使用した過去があった事だろう。また、ウクライナが一族支配による独裁国家ではなく、選挙で選ばれた政権による民主国家である事も大きい。
いずれにしろ、かつてベトナム戦争で北ベトナムを支持した人は、同じ理由でウクライナを支持しロシアを批判すべきだろう。というか、ウクライナの場合、外形状も明白な侵略戦争であり、ロシア(というかプーチンが)が侵略を止めれば、戦争は終わるのだから、ロシアに戦争を止めるように圧力をかけるのが当然だろう。ロシアが戦争をやめなければ、ヴェトナムがそうであったように、ウクライナ人の抵抗は続き、戦争は終わらないと思う。
2022年3月25日(金)
ノート「なぜヒマワリはウクライナの抵抗のシンボルとなったのか?」インディペンデント紙の記事。登録すればただで読める。
ロシアが侵攻したその日、ロシア兵にこう言って食ってかかる女性の姿が映像で流れた。「お前たちは銃を持ってなぜここにいる。ここは私の国だ。」宥めようとするロシア兵のポケットに、女性は一握りのヒマワリの種を押し込む、「せめてこれを持っていくがいい。お前が殺されて埋められた時、ヒマワリの種がそこに咲き誇るように!」
ウクライナ国旗の黄色はおそらくヒマワリの色なのだ。ウクライナはヒマワリ油の大産地でロシアと共に世界生産の7、8割を占める。ヒマワリ油がよく使われるようになったのは、受難説の時期、ロシア正教会は、バターやラードの使用は禁じたが、植物性油の使用は禁じなかっらからだ。
10数年前ウクライナに行った時、チェルノブイリ原発へ行く途中の道で見たヒマワリの畑を思い出す。映画「ひまわり」の冒頭のシーンのように撮りたかったが、軍用地の立て札があったため、ガイドが撮影を許してくれなかった。あの映画、ウクライナが舞台だったと、今思い出した。
以下、産経新聞記事より。 ウクライナで撮影の映画「ひまわり」上映の輪広がる
今日のザレンスキー。ロシアがウクライナへの侵略をやめない限り、どういう形でも戦争は続くのだ。例え大統領が追放されてロシアの傀儡政権ができたとしても、レジスタンスは続く。これは私には自明な事のように思われるのだが・・・
先程の「ヒマワリの種」の女性の映像。大分意訳、脚色してしまったようだ。
2022年3月27日
こういうリポートが山ほどあるのに、「攻撃の映像はあるのにその後の映像がない、おかしい」などという人がいるのに驚く。それもかなり年配の方、ベトナム戦争世代。Wag The Dog 症候群の実例を身近に発見してしまった。ウクライナ戦争は、ウクライナとベトナム、アメリカとロシアが入れ変わったベトナム戦争だと思う。ゼレンスキーが「単なる」国土防衛のために自国民を犠牲にする悪人ならば、ホーチミンなど、「単なる」民族統一のために数百万のベトナム人民を犠牲にした大悪人ではないか。それとも彼の人の目には、プーチンが「祖国統一」を目指すホーチミンのように写っているのだろうか?「ゼレンスキーは核戦争に世界を巻き込むな」とまで口走っていたが、敢えて言うならば、同じことはホーチミンにも言えるのである。(ベトナム戦争でもアメリカが核兵器の使用を検討する局面はあったしかも、そういう異様な意見の根拠が「全てはロスチャイルドの陰謀」といった類のネットの底の浅い陰謀論なのだから困ってしまう。初めは冗談で言っていると思っていたが、かなり本気のようだ。「陰謀論にはまっている人を説得しても怒らせるだけ」と言う意見が正しいことも確認(笑)
上は若者のBBCと言われる Vice News のリポート。この言い方が既にじじむさいか。やはりVice News のリポートには独特の臨場感がある。
2022年3月28日(🈷)
英語の題名(Ivan’s Childhood)と同じくロシア語の原題も「イワンの少年時代」。映画の冒頭とおしまいに「イワンのそうあるべきだった少年時代」が描かれる。冒頭、イワンがお母さんから受け取った桶から水をのむシーンが好きだ。ダッハウ収容所にいた精神分析学者が、収容所の生活では、朝、夢から覚める時が一番辛い。だから、常に、朝食べるためのパンを少し残して、枕元に置いて眠りについた、と書いていた。物を食べる事で自分を励ますのだと。映画は、イワンが夢から覚めて現実に引き戻されることで物語が動き出し、夢に戻ってきて終わる。
今年のニュース映像部門のピューリッツアー賞はこれで決まりではないか。小さな子供でも何かを感じているわけだ。本当はこの子の母親もこうしたいところだろう。疎開、子供の疎開、学童疎開というものを、映画や古いニュース映像以外で初めて見た。今日、TBSのニュースでも見たが、もう少し大きい子だと、両親と離れて、祖父母や親戚と疎開することも結構あるらしいのである。
2022年3月31日(木)
引用は下のジョン・バエズ公式サイト記事から。

ノート ジョン・バエズがゼレンスキーへ自ら描いた絵を送った。バエズは「自分が戦争の英雄の絵を描くとは思わなかった」と語っている。絵にはウクライナのシンボルであるヒマワリとシュバシコウ(コウノトリの一種)が描かれ、大統領の名前がキリル文字で記されている。




