「青空文庫」のこと〜タブレット一個で文化的生活は可能か?
- akiyamabkk

- 5月9日
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やはり書籍で活字を追うことが難しくなっている。老眼が進んだことが一番の理由だが、パソコンやタブレットで見る活字の大きさ、鮮明さと横書きになれてしまっているので、縦書きの不鮮明で小さな活字を追っていると、集中力が続かないのだ。一番簡単な解決策は、タブレットやキンドルで読書することだろう。書籍の電子化とタブレットは、高齢者の読書にとって必須のアイテムになったと思う。特に貧困層にとって。
仮に将来、生活保護が食品クーポン化するとしたら、合わせてタブレットとネット回線も配給するようにするべきだ。よくしたもので、タブレットとネットさえあれば、「最低限の文化的生活」を送れるような時代になっている。音楽は概ねタダで聞けるし、映画だって、著作権切れのものは、そのうち合法的に公的機関が無料配信するようになるだろう・・・と期待している。老人福祉にもなるし、外国語字幕をつけて配信すれば、黒澤、小津、溝口、成瀬だけではない、日本映画の優れた作品を海外に知らしめる、文化宣伝にもなるのである。
高齢貧困読者人にとっては、こういう有益なサイトがある。
青空文庫。
ボランティアによる著作権切れ作品の書き起こし電子書籍サイトである。著作権保護期間70年、現在、2025年だから、1955年までに亡くなった作家の作品がここでロハで読めるわけだ。以下、「青空文庫」から、「著作権が消滅した作家一覧」。夏目漱石、森鴎外、太宰治、菊池寛、などなど、この辺りの古典は余裕で読める。菊池寛など、「恩讐の彼方に」以外、あまり読んだことがなかったが、結構面白い。発想が理詰めで現実的なのだ。
リストには、1955年以降に亡くなった作家の作品も含まれている。2018年に行われた著作権保護期間延長は訴求的に適応されず、それ以前にパブリックドメイン入りした作品については著作権失効が維持されるためだ。70年への延長は、TPP条約発効に伴い施行されたもので、それ以前の保護期間は50年だった。この期間延長により、川端康成作品などのパブリックドメイン入りが見送られたそうだ。川端はどうでもいいが、この20年間の空白は、我々の世代には痛い。下にアドレスを示した記事のリストを見て、子母沢寛、広津和郎、木々高太郎、武田泰淳、野田高梧(小津映画の脚本家)・・・このあたりはもっと読んでみたいと思った。チキショウ、TPPに反対すればよかった。遅いか!(笑)
しかし、それもこれも、ネット回線とデバイスがなければ始まらない。インターネットが「若者のツール」という時代はあっという間に過ぎ去って、今や高齢貧困層の「文化的生命線」となった。
<了>



