私の好きな日本映画 その十
- akiyamabkk

- 2024年6月30日
- 読了時間: 4分
これにて完結。パチパチパチパチ。今回、再アップしている時、十作品を入れたつもりが、九つしか入っていないクリップがあることを発見した。十かける十で100作品として全部つないで一本とし「日本映画 百物語」と題しようと思っていたのだが(実はもう作ってYouTube に上げてある)、これでは99物語になってしまう。ごろが悪い。間違えて11個入れてあるクリップはないものか。
木下惠介の「陸軍」、すごいラストですなあ。個人的には、ロッセリーニ等が作った「無防備都市」よりもすごいと思う。あれはファシズム政権の崩壊後に作られたが、「陸軍」は軍全盛の戦争の真っ只中で作られ、ラストシーンは、福岡のある連隊の実際の出征風景を撮ったそうだ。「反戦の意思」とか「軍を手玉に取った」とかいうよりも、木下惠介は、映画監督としてラストをああ作らないと嫌だったのだろう。ああでないと映画の本質的な部分が嘘になると。
『Tomorrow 明日」長崎に原爆が投下されるまでの人々の日常、その一日を描いた映画・・・か、テレビドラマ。少なくとも自分はテレビで見た。映画は、昭和20年8月9日午前11時2分、原爆投下の瞬間で終わる。夏になると必ず思い出す名作。ここで一首、
ちちはは我が子の風邪を気に病みぬ
熱波となりて消さるるを知らねば
「どん底」結局、黒沢映画をいくつも上げてしまった。ゴーリキーの原作を黒澤明が、江戸期に時代を移して脚色した。原作の巡礼役は、左卜全。ラスト、捨て台詞を吐くミツイコウジの顔のアップに、ちょんと拍子木が入ってエンドマークの終。素晴らしくクールなエンディングである。延々とクレジットを垂れ流す最近のやり方では、こうはいかない。観客にあれを最後まで見るギリはないのだから、エンドマークの後になんか細工するのはやめてほしい。
「白い巨塔」田宮二郎の映画。絵に描いたような悪徳エリート医師というのは、案外、演じにくい役なのではないか。対する良心的医師は山本学が演じていたと思うが、この人は、監督の山本薩夫の親戚らしい。保守は当たり前のように縁故主義だが、左翼も縁故主義のようだ。
「大学は出たけれど」見たのは「生まれては見たけれど」の方だったかも。小津安二郎は、子供を決して理想化しない。出てくるのは、だいたいどうしようもない悪ガキか、わがまま坊主である。「突貫小僧」なども、誘拐した方が扱いきれなくなるほどの悪ガキだった。これは最近、オーヘンリの小説のパクリだと気づいた。
「ある映画監督の生涯」新藤兼人が撮った溝口健二の伝記映画。映画を見ても、この人のどこに取り柄があるのか、よくわからない。むしろ、監督が「ごねる」ことを正当化する悪弊を作った人ではないか?天皇と呼ばれた黒澤のドキュメンタリーを見ても、こちらは、理由があって撮影を粘っている事が理解できるのである。田中絹代のインタビューは圧巻。
「柳生一族の陰謀」時代劇好きの中学の友達と見に行った。今、思い返しても、萬屋錦之介のあのテンションは異様だ。眉毛がないのも怖い。むしろ悪役をやるべき人だったのではないか。「陰謀は許さん」という三船敏郎のセリフがテレビCMで流れていて、それを皆で、「陰毛は許さん」とギャグにしていた。ちょうど、生え始めた年齢だったのだ。(笑)
「蒲田行進曲」見たことはみたが、実は、あんまり好きでもない。「映画がこんなに好きな私」・・・みたいはナルシズムはあまり好きではないし、出ている役者もイマイチだ。舞台上がりの台詞回しが自分の好みではないのである。平田満はその後良くなったが。では、なぜここに挙げたがかと言うと、「蒲田行進曲」と言う歌が好きだからだ。
「キクとイサム」あの「真昼の暗黒」の今井正の代表作。早稲田のアクトミニシアターで見た。感動したし、今、現在、いじめにあっている子供に見てほしいと思うが、果たして訴求力があるだろうか?・・・という疑問もわく。彼らは「そんなに甘い話じゃないよ」と鼻で笑うかもしれない。映画のこの姉弟には、黒人とのハーフと言う差別される理由(もちろん許されるべきではないか)があり、それに立ち向かう社会的な倫理も論理もあった。今のいじめによくある、いきなり降りかかってくる、不条理な暴力に立ち向かう方が、数段、難しいのではないか?いわば、ガードを下ろしているところを、不意打ちで、集団で、一方的にやれらるのだから。
「王将」浪花の真剣師、坂田三吉が、関根名人と対決する将棋の話し。坂田三吉を阪東妻三郎が演じている。AIの申し子のような若い棋士が、棋界を席巻する現代ではあり得ない将棋ロマンだが、これはボクシングなどもそうで、子供の頃から英才教育を受けたアマ出身のチャンピオンが君臨し、叩き上げが入り込む余地が無くなっている。そういう時代だけに、エリートVS叩き上げ、人工知能VS人間、このテーマで、王将を現代的に脚色すると面白いのではないか?アンダードッグを勝たせるためのアイデアが必要だが。
これにて終了。
ではでは




