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◇寅さん映画の場面転換の「音」

  • 執筆者の写真: akiyamabkk
    akiyamabkk
  • 2024年7月22日
  • 読了時間: 2分

更新日:2024年7月22日

小津安二郎の静物画的ピローショット


「音」といっても、特別のテクニックの事を言っているのではなく、外国の評論家の言うピローショット、平たく言えば「場面展開の絵」に載せてある音、ノイズの事だ。例えば、夕暮れ、田舎町の雑貨屋の前を自転車に乗った女子学生が通りすぎる、その時、店番のお婆さんがかける「気いつけて帰りんさいよ」・・・みたいな言葉、音。おそらくロケ地の地元の人に言ってもらってる、方言混じりの、その声。


この「立ってない」音のさじ加減が抜群なのですね。考えてみると、我々は、普段の生活の音を、映画やテレビみたいに、強調された特定の音として聞かないわけで、こういう人声も、数多ある生活音、ノイズの一つとして聴くのである。このさじ加減の抜群さが、今となっては懐かしい景色、光景に相まって、我々になんとも言えない感懐を呼び起こすことになる。


この種のショットを外国人が「ピローショット」などと言い始めたのは、小津安二郎が場面展開の絵を多用したからだが、小津はチャルメラや柱時計の音とか、明確に効果を狙った音を使うことはあっても、生活音のノイズをそのまま場面転換の絵に載せる事をしなかったように思う。映画の音の撮り方をよく知らないが、これは、間違いなく、山田洋次監督が、効果を狙い打った音なのだ。始めに、「テクニックの事ではない」と書いたが、そう考えれば、これは相当に高度なテクニックだ。


写真は小津の映画「浮草」冒頭近くの、静物画的ピローショット。小津が場面展開で使う絵は、こういう静的なものが多かったように思う。人は出てきても、点景に過ぎないので、声を発する事はないわけだ。


ではでは

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