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◇たそがれ清兵衛(2002) 〜映画感想文 ※タネアカシあり

  • 執筆者の写真: akiyamabkk
    akiyamabkk
  • 2024年7月23日
  • 読了時間: 2分


藤沢周平原作、だが、実は「たそがれ清兵衛」よりも藤沢の別の短編「ほいと平八」を元にして脚色している。夕方になるとそそくさと家に帰る、というところだけが「たそがれ清兵衛」で(こちらは病身の妻の面倒を見るためだが)、やもめぐらしで身だしなみが整わず殿様から叱責されたり、上意討ちを命じられたり、紆余曲折の末幼馴染と結ばれたりするのは、後者のストーリーだったと思う。「ほいと平八」では映画の題名にならないので「たそがれ清兵衛」にしたのだろう。


ラストの田中泯との決闘シーンは、新しいチャンバラアクションを見せられた気がした。黒澤明が、様式化されたチャンバラをリアルな斬り合いに変えたとされているが、山田洋二も時代劇アクションに新しいスタイルを付け加えたと思う。圧倒的なスピードで瞬間に終わらせる三船敏郎の殺陣と対照的な、二人の剣の達人が延々と死闘を繰り広げ、無数の刀疵を負いながら、最後に力尽きて決着がつく「西部劇の殴り合い」タイプの時代劇アクションである。これはやはり、主役に真田広之というアクション俳優を配した事が大きいだろう。真田は、三船敏郎タイプの「瞬殺の殺陣」も映画の前半で披露している。これも見事なものだった。


物語のエピローグ、明治の御代となり、成長して初老の女性となった清兵衛の娘(岸惠子)が、人力車で清兵衛達の墓を参るシーンに、二人のその後を語る岸のナレーションが被さってくる。清兵衛の墓が、戊辰戦争で亡くなったホンモノの無名兵士の墓に見えてくるような素晴らしいシーンだった。このシーンを加えた事によって、「たそがれ清兵衛」は「藤沢周平の時代劇」から、「山田洋次の歴史劇」に変わったのだ。


原作の味わいを残しながら、複数の作品を一つにまとめて、さらに映画に新しい感動を付け加えた、脚色のお手本のような作品だったと思う。


文句なしで、10/10


ではでは

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