Noriko Talking about Yakiniku & Human Greed (Tokyo Story's Parody)
- akiyamabkk

- 2024年7月11日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年7月12日
焼肉を巡ってどうしても自己本位になってしまう人間の業を、若気の理想主義から嫌悪する義妹を、「人間とはそういうもの」と優しく諭す節子。名作「東京物語」のラストに近い名シーンである。
この「牛肉至上主義的」な肉に対する感覚は、おそらく戦後しばらくまでのもので、東京オリンピックの年に生まれた自分などは、親元で普通に牛肉は食べられた。漫画「サザエさん」でよくあった「今日はすき焼きだ、イェーイ」・・・的なシチュエーションに、日本人が違和感を感じ始めた頃、自分は、物心ついたようである。
ということで、この偽字幕パロディの時代設定は、映画が公開された1953年に寄せたものになっている。当時は、日本映画の全盛期であり、翌1954年には、黒澤明の「七人の侍」と木下恵介の「二十四の瞳」」が公開されている。驚くべきことに、映画史的傑作「七人の侍」がキネマ旬報社邦画部門の三位、この「東京物語」もキネ旬邦画部門二位である。ちなみに、53年の一位は「二十四の瞳」、54年の一位は、今井正の「にごりえ」だった。
Yakiniku Parody の字幕は、ほとんど、配給会社のものを使った。英語字幕版を初めて見た当時は、「いやあねえ、世の中って」に当たる訳語が、”Isn’t life disappoinging?” とあまりに直接的で、少し違うんじゃないかと思った。しかし、今となって考えてみると、これは名訳だと思う。煎じ詰めると、この義妹の本意はそういうことではないか。そして外国の観客は、この極めてストレートな人生否定の言葉を、”Yes, it is” と、決然と満面の笑顔で肯定する義姉、原節子だからこそ、あれほどの感動と衝撃を受けたのだと思う。
ちなみに、今、「いやあねえ、世の中って。」「そう、嫌な事ばっかり」という会話を ChatGPT に訳させてみると、”Life, you know?” ”Yeah, it's just full of bad things.”と出た。オリジナルの婉曲話法を、忠実に訳そうと試みているが、何か、薄ぼんやりした印象である。もし、当時、ChatGPT があり、人工知能にこのシーンを訳させていたら、「東京物語」は、あれほどの評価を、海外で受けなかったかもしれない。
ちなみに焼肉パロディの日本語字幕バージョンは以下。これで東西の名作映画に冒涜的な振る舞いをしたわけで、何か、申し訳ない気持ちと、鼻高々という気分がある。小津安二郎先生、すいません。
<了>
以下参考。1953年、1954年のキネ旬邦画ベスト10。
1954年
1.二十四の瞳
2.女の園
3.七人の侍
4.黒い潮
5.近松物語
6.山の音
7.晩菊
8.勲章
9.山椒大夫
10.大阪の宿
1953年
1.にごりえ
2.東京物語
3.雨月物語
4.煙突の見える場所
5.あにいもうと
6.日本の悲劇
7.ひめゆりの塔
8.雁
9.祇園囃子
10.縮図




